伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第194回
私は「ノンEU人」

「EU(ヨーロッパ連合)の国である」となれば、
「EUではない国もある」という話も同時にできあがります。
EUではない国を、ノンEU国というときがあります。

この「ノンEU」はどういう国かといいますと、
大雑把に見て、頭にアルファベットの
Aが付く地域の国かなと私は思っています。
具体的には、アジア・アメリカ・アフリカです。
そして、オーストラリアなど環太平洋の国、
Aは付かないのですがロシアや中近東の国もそうです。

「EU」か「ノンEU」かという「区別」は、
生まれ持った人の見た目の姿、
その人の言語、文化、生活習慣や宗教などで
安易に差別しようとはしていません。
個人の宗教自由によって、EUの多くの国の国教、
キリスト教とは異なる宗教を持つ人が大勢います。
その人がEU国籍ならEUの権利を得て住んでいます。

この連合の利害を共にする国籍かそうでないか、だけを
見事に「区別」しています。
そして、日本国籍を持つ私は「ノンEU」人。

いざ個人で住み始めてみると、
「ノンEU」の立場は、何かと辛かったです。
しかし、年月を過ごすと
徐々にEU人との区別が緩やかになるので、
気分的にかなりラクになります。

例えば、一番分かりやすいのは就労の権利です。
ビザの都合で、EU国でノンEU人が
EUに来てすぐ就労するのは難しいです。
EU企業が進んで就労ビザを政府に申請してくれたり、
配偶者がEU国籍を持っていたりすれば、
すぐに就労できます。それ以外なら、
許可が下りるまで、在住を許可するビザだけで、
黙って年月を過さなければなりません。

一方、EU国籍の人は、EU圏内ならば、
すぐに母国と同じように就職活動ができます。
イタリア人がドイツ企業に雇用されるにも、
ドイツ人がフランスで職場を探すのも自由。
もしも、アジア近隣国の間でも
EUのような就労の自由が認められたら、
日本はどんな社会になるのでしょうね。


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2008年1月30日(水)

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