伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第202回
こんなに景気がよいのにストライキ?

昨年秋のドイツ鉄道(DB)の大型ストライキ、
年が明けてしまえば、
すっかり過去の話なのかもしれません。
しかし、忘れもしないこの大型スト、
皆のお金財布をガツンと直撃しました。
何を隠そう、あのガソリン価格!
1リットル1.5ユーロをあっという間に越え、
天井知らずのうなぎ上りの真っ最中でしたから。

その発端は、鉄道職員の賃金値上げを求めるストでした。
9月末の警告ストに始まり、30時間スト、
交渉が長引くたびの繰り返し単発のストを含めると、
10月中はほぼ1ヶ月間麻痺状態。
旅客の足に大影響があったのは、
主に旧西ドイツの都市とした郊外を結ぶ近距離路線。
そして、長距離鉄道の一部が止まりました。
もっとも大掛かりな極め付けの大影響を与えたのは、
輸送されない荷物が港に山積みになった、
貨物部門の労働組合のストでした。

さて、この長期に渡るストの最中、
この郊外から通勤する人たちは、
仕方なくマイカー通勤に切り替えました。
毎日値上がるガソリンを消費する乗り物を
使いたくないのに、嫌でも使わざるを得なかったのです。
皆が一斉にマイカーを出すものですから、
ストがある日には朝から晩まで、
都市部に向かう道という道が大渋滞になりました。

しかも、職場までが20キロ以内の近距離の場合、
マイカー通勤で使うガソリン代が
2007年から税還付の対象から外されているのです!
皆も、もちろんこのことを知っています。
泣きっ面に蜂、とはこのことですね。

高いガソリンをできるだけ買いたくない!
絶対に無駄には使いたくない!
…けれど、どうしても使わなければならない。
この状態が、すっかり出来上がっていたのが
昨年のDBの大型ストライキ。

「こんなに景気が良いのに、どうして長いストをするの?
せっかくの景気が悪くなっちゃうじゃないか!?」
そんな声がやっと上がり始めたのは11月末。
クリスマス休暇を目前にして、
この1件はようやく収束に向かいました。


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2008年2月18日(月)

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