伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第204回
EUを知りたくば古代ローマを知れ

「差別されたと思うな、相手は分からないと思え」と、
「欧州人とはケンカをするな」に続く、
私の欧州住まい3つ目の金言が、
「EUを知りたくば、古代ローマを知れ」です。

欧州の主要都市のほとんどが、
古代ローマ時代に起源していることを
世界史や地理で学ばれた方が多いことでしょう。
これに似た言葉がすでにたくさんあるかもしれません。
でも私は、毎日の生活の実感として
改めてこの言葉を拾いあげておきたいのです。
これは、アジア人が、
EUのことを知りたいときに大いに役立つ目線です。

彼らの絶対に譲らないプライド、誇りとは何か?
彼らが賛辞すべき生き方とはどういうものか?
彼らが言語も習慣も違う異国と渡り合うときに
彼らは何を考えながら、
どんな目的を果たそうとするのか?など。
現代のEU人の人間像が映し出されているかのように
見えるのが、古代ローマの歴史文化です。

古代ローマは、紀元前753年のローマの建国から、
東ローマ帝国が滅んだ1453年まで含めると、
少なくとも約2000年の歴史があります。
476年の西ローマ帝国の滅亡後、
800年に復活した西ローマ帝国を繋いで、
現在のドイツそのものが、
1806年まで、「神聖ローマ帝国」と
ローマを名乗っていた時代もありました。

それぞれの国民性があるEU人ですが、
そのポリシーやプライドの底辺には共通した何かを感じます。
古代ローマの遺跡を訪ねたり、
本を探して少しずつ読んだりしているうちに、
古代ローマ人と現代のEU人が
重なっているように見えるときがあります。
彼ら自身、この壮大な歴史のドラマに
今でも、とても高い誇りを持っています。

必ずしも正確な線引きにはなりませんが、
このローマの歴史とどれほど強い共通項を持っているか、
否かが、その国がEUかEUでないかの、
おぼろげながらの境界線を作っているようにも見えます。


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2008年2月22日(金)

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