伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第205回
フランクフルトに古代ローマの町並み

古代ローマに由来するドイツの都市名を挙げると、
ケルンやトリーアが観光地として有名です。
メッセや金融街のイメージが強いので忘れられそうですが、
フランクフルトもその1つです。

フランクフルトの都市考古学の中で、
「ローマの時代」と分類されているのは、
紀元初年から紀元260年ごろまで。
日本では、弥生時代の中期〜後期にあたります。
はるばるローマから兵を北に進めて、
ライン川を越えてローマ軍が到達し、
集落を作ったのが現在のフランクフルト。

北の敵を見張るにちょうど良い、
穏やかな姿のタウナス山に囲まれています。
そして、南には、マイン川(ライン川枝流)。
きっと、住みやすい良い場所だったのでしょう。
ローマ兵やその属国兵は、陣地だけに留まらず、
現地人と交わりながら暮らしていたようです。

このタウナス山の稜線に沿って、
ローマ軍の砦や見張り塔の跡が点々と連なるのが見えます。
そして、フランクフルトの都市中心に極めて近い場所に
野原や森林の風景そのままを公園にした
ニッダ・パークがあります。
ここにはローマ時代の遺跡が多く眠っています。

この公園の北部には、
かつて古代ローマの町並みがありました。
市場の跡や、建物の柱や壁が発掘されています。
漆喰の壁には、植物や幾何学模様が
色とりどりに描かれていたようです。
彼らは現代とそう変わらない、
ベッドや椅子を並べた生活空間を持っていた様子。

また、この町はずれで土器が盛んに焼かれていました。
今では、ショッピングセンターとなっている、
ノルド・ツエントラムの道路脇に
焼き物用の窯跡が見えます。

気がつけば、フランクフルトの
あちこちがローマの遺跡だらけ。
皆は、幼いころから自然にローマ史を学び、
身近に親しんでいます。


←前回記事へ

2008年2月25日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ