伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第209回
いいなと思うサービスが違います

ドイツ人を始め、他の多くの欧州人には、
「時間は優雅に、お金は賢く節約して」使う
生活ポリシーが徹底しています。
欧州のお金持ちさんであろうとも、日常の小さなもの、
例えば、子どもの毎日の弁当代にも
細かく気を配るのを忘れない様子です。

そんな様子を見ていると、
「ケチでありながら、優雅でありたい」という、
一見、互いに矛盾して見えるものを、
上手く組み合わせて提供するのが、
欧州人に受け入れられる
良いサービスの基本形なのかな、と見えてきます。

アジアでは、何かと「テキパキと時間を短く」するのが、
良いサービスに繋がっていたように思うのですが、
いかがでしょうか。
ところ変われば、良いなと思うサービスの形も
変わってくるのかもしれませんね。

例えば、10ユーロほど使って、
その日の1日のための食事をしたいと、
ごく普通のレストランにやって来た時点で、
「私の時間を優雅に、
そして私のお金を大事に使わせて欲しい」
という気持ちがお客の心には暗黙にあります。

こういう時に、黙ってお冷やお絞りを
持って来てくれるのが嬉しい場合もありますが、
自分が注文した飲み物をゆっくり飲みながら、
その店のメニューをゆっくり読ませてくれるほうが、
有難い場合もある、かもしれません。

大急ぎの簡単料理が出てくるよりも、
座り心地よい椅子に座って、
店に置かれた骨董品や遠くの景色でも眺めて待つのも
一興と思っているかもしれません。

テキパキと皿を引いて綺麗に片付けられるよりも、
もっと、ゆっくりペースで次の料理が出てくるといいな、
と思ったり、ともかく、ゆっくり寛ぎながら、
ごく普通の料理を食べさせてくれればそれで嬉しい、
と思ったりしているかもしれません。
アジアでならば、
「飲食店でそんな長ッ尻の客が増えては、商売にならん!」
と追い出されてしまうでしょうか?


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2008年3月5日(水)

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