伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第215回
ローマだけが古代ローマにあらず

「ローマ(イタリア)だけが、古代ローマにあらず」
と言いたいほど、小さなコロッセウム、
浴場や劇場、市場、教会、そして軍の砦や高官の住居など
古代ローマの遺跡がドイツを始め、欧州各地にあります。
この古くからの歴史こそ、欧州人の誇りの源です。

「EUを知りたくば、古代ローマを知れ」だな、
と気付いてからは、私も皆に混じって、
積極的に遺跡の見学に参加したり、
博物館を訪ねたりするようになりました。
古代ローマの遺跡や博物館では、
どこに行っても、小学生から大学生まで、
幅広い年齢の子どもたちや学生が、社会科見学に来ています。

ドイツの小学4年生の見学はなかなかの雰囲気です。
手作りのローマ市民の衣装を身にまとって学習します。
白いシーツを身体に巻いて紐で結び、
ローマの役人のガウンに見立てたり、
お母さんのスカートを借りてきたのか、
ロングスカートに手籠を持つ、物売りの女性になったり、
紙とアルミ箔で作った甲冑と剣を用意して、兵隊になったり。

「さあ、昔のローマ人になった気持ちで歩いてみましょう!」と
引率の先生が号令をかけると、
小さなローマ人がワイワイ賑やかに遺跡散策を始めます。

数多い古代ローマに関する本の中でも、
塩野七生氏の著書は、私の大事な歴史教科書のひとつです。
歴史人物の人間描写が細やかなので、
遺跡を訪ねながら併せて読むと
歴史上のヒーロー・ヒロインの姿が目に浮かびます。
欧州人らしい発想と彼らが考えを進めていく手順が
丁寧に記されていて、ありがたいです。

豊富な資料や遺跡と、著述された物語とが、
丁寧にきちんとピントが合っているのでしょう。
彼らの決断力や行動力がどう史実に導かれたのか、
遺跡で確かめながら、少しずつ追うことができます。

アジア人にも欧州人のことを理解しやすい、
ずいぶん助けなる本だな、と思っていると、
日本語だけではなく、
韓国語訳もあるよ、と教えられました。


←前回記事へ

2008年3月19日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ