伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第218回
美容院でも節約倹約!

多くのドイツ人が節約倹約に励む生活なので、
美容院での散髪代も、その対象になります。
大抵のお店では、洗髪だけ、カットだけ、
ドライだけなど単品サービスを、
そのときの必要や懐具合に応じて1つずつ注文します。

例えば、日本のと全く同じサービス・メニューで、
女性用の洗髪・カット・ドライの3つを注文すると、
19パーセントの税金込みで、
全部で約35ユーロになってしまいます。

常連さんだなと思う人は、大抵、男性も女性も、
カット料金が1番安いショートヘアにしています。
その代わり、散歩帰りにこまめに店に立ち寄り、
「今、ちょっとお願いできるかね?」と
鏡の前に座って、ハサミを軽く入れてもらっています。
お店のほうも手馴れたもので、
お客の顔を見ると、ぱっと手早く済ませてしまいます。
これなら、10分とかからない上、
10ユーロ札で十分なおつりがくる値段で済みます。
お金も時間も節約できるという次第。

さて、順番が来ると、
「今日は、洗髪なさいますか?」と尋ねられます。
ええ、お願いしますと答えると、
シャワー用のシンクが付いた、
洗髪用の椅子に座るように言われます。
これは、日本の美容院にもありますね。

しかし、この椅子には、日本の深くて大きなシンクとは
比べものにならないほど、小さくて浅いシンクが付いています。
椅子の背を倒すと、お客の首がシンクの縁に来ます。

17世紀ごろ、日本の有田や伊万里から、
欧州へ盛んに陶磁器が輸出された時代がありました。
その輸出品の中に、
スープ皿の縁の1箇所を三日月形に切り取ったような、
「髭皿」と呼ばれる床屋用の皿があります。
縁が弓なりになった部分を肌に当てて、
髪や髭を整えたり、悪い血を出す医術を受けたりするために
使われたと言われています。

現代のドイツの美容院にある、洗髪用の白いシンクが
ちょうどこの髭皿と同じ形と大きさに見えます。
どんなに小さくて浅いシンクか
ご想像いただけるでしょうか?


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2008年3月26日(水)

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