伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第225回
おや、今日は何かがあったな!

何気なく雑談をしているうちに、
「セルビアからコソボが独立宣言をしたときには、
フランクフルトの繁華街にも、
警察と軍のパトロールが出ていたね」
という話になりました。

それぞれを祖国に持つ人々、
その近隣国を祖国として持つ人々も
フランクフルトに住んだり、通行したりしています。
その独立宣言への賛否両論について、
誰がどちらを良しとして主張しようとも、
フランフルトの街中で、民衆同士で衝突することがないよう
繁華街にパトロールが配されていたとのこと。
幸い、大事は起きなかった様子です。

ドイツ国内外で、突発の事件が起きたとき、
民衆の騒ぎの原因になりやすい政治変化が起きたとき、
ここでは、素早く軍や警察が出動します。
そして、必要に応じて、交通など、
公共機関の一般利用が遠慮なく制限されます。

例えば、数年前、アメリカのブッシュ大統領が
フランクフルトを訪れたときには、
空港周辺のアウトバーンが完全に閉鎖されました。
東京でなら、首都高速道路の車両通行を
丸1日禁止されたような格好でしょうか。
フランクフルトへのVIPの訪問や通行は頻繁なれど、
それほどの警戒体制に、私は初めて遭遇しました。

時折、屈強な体躯をした兵士が街角に立ったり、
男女の警察官が、訓練された大型のシェパードを連れて
地下鉄のホームや電車の車両の中をパトロールしたりします。
これを日頃より、急に多く目にしたら、
「おや、今日は何かがあったな!」と察します。
欧州人の皆は慣れているとはいえ、
「今日、駅に警察官が多いのは何故か?」などと
雑談の中で、仲間にその理由を遠慮なく確認しています。

島国ニッポンから出てきた当初は、
パトロール中の彼らを見ただけで
「なんだか恐い!」と思うのが精一杯でした。
「周囲の状況を素早く読み取って、
自分自身で警戒しなければならないのだ」
と気が付くまで、だいぶ時間が掛かりました。

テレビやラジオなどのニュース速報は、
まるで対岸の火事のように、
遠い国の出来事として聞くためのものではなく
「だから、その次に何が起こりうるか?」を
素早く察知するためのツールだと知りました。


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2008年4月11日(金)

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