伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第230回
あまりにも、野菜らしい野菜

春野菜が美味しい季節になりました。
薄い黄緑色から、深い紅色まで、
種類豊富にレタスやサラダ菜が
色とりどりに店頭を賑わせています。
しかも、よく見るとこの葉野菜は、大抵、泥だらけです。

今ではすっかり慣れっこになりましたが、
この泥にまみれたサラダ菜やホウレン草の山を
野菜売り場で最初に見たときには、
さて、どうしたものやら…と戸惑いました。

日本の店頭に並んでいた、ピカピカに洗われ、
トレーに並んでプラスチックフィルムで
きちんと包装された野菜。
そういう野菜に、
私は、あまりに慣れすぎていました。

「こんなに泥を被っているのに食べられるのかな?」
「お腹を壊すんじゃなかろうか?」などと思いかけたとき、
「いや、これが野菜本来の姿だった」と気がつきました。
何十年も、こんな泥だらけの野菜を見ていなかったので、
もう、すっかり忘れています。

葉先を摘むと、切り口から乳白色の汁が
勢いよく溢れ出てきます。
冷水に浸しておくと、土だけが水に沈むので、
手間を掛けずともすぐに綺麗になります。
葉先に水が行き渡り、
瞬く間に生き返って、しゃっきりします。
あまりにも、野菜らしい野菜で、驚きます。

この季節、レストランのお昼のメニューを見て、
「何々サラダ」と表示されたものが、
1皿10ユーロ前後するようであれば、
それは1食たっぷり、ほぼ生野菜だけです。
ごく普通のレストランであれば、
この価格がドイツでの1食1人前なので、目安になります。

出てくるのは、大きなサラダボウルにテンコ盛りの生野菜。
それにツナやハム、あるいはチーズを合わせたり、
黒パンのスライスを1枚添えたりするメニューもあります。

サラダの山と飲み物を注文すればそれで十分すぎる量。
皆が嬉々として、これを選んでいる姿を見ると、
もう春は間もなく終盤、
すぐに夏本番がやってくるなと思います。


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2008年4月23日(水)

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