伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第234回
その匂いはダメなんです

ドイツの人、「匂い」には敏感です。
しかし、日本人ほど清潔にしなければ気が済まず、
「何がなんでも、無臭が良い」のではありません。

もしも、欧州人の体臭を問題にするなら、
日本人には、大いに気になる匂いでしょう。
欧州は、乾燥気候のために脂性肌のほうが好ましく、
シャワーや入浴回数が少なめが良いという生活習慣。
どうしても体臭が強くなりがちなので、
ドイツにも香水やコロンを使う習慣があります。

ドイツ人には、ドイツ人にとって「許せる匂い」と、
「許せない匂い」があるように思います。
そして、許せないときには、
拒否反応をとことん示すようです。
特に「食べ物の匂い」の許容範囲が
あまり広くない様子なので、
気をつけようと思うことがあります。

例えば、アパートに住み始めて早々、
醤油をちょっと煮焦がしたことがありました。
あ、しまった!と思ったけれど、どうしようもありません。
周りのドイツ人にとっては、異臭・悪臭です。

醤油味のバーベキュー・ソースが受け入れられるように
なったのは、アジア料理が普及した、まだ最近の話。
5年前では、かなり耐えがたい
異国の匂いだったと思います。
悪臭を嗅ぎに来ることになるので、
ドアを叩いて、文句を言いには来ませんでしたが、
共同廊下に花の香りの「匂い消し」を
シュシュッと撒いた気配がすぐにありました。

ニンニクの匂いも、ダメな人にはダメな様子です。
ドイツ人にはニンニクが苦手な人が多いと、
噂には聞いていました。
自分のこの目で確かめたのは
百貨店の店内で、鍋の実演販売の横を通ったときです。

「本日は、ようこそ!さあ、この鍋にオリーブオイルと
ニンニクを入れて良い香りがしたら…」と
お洒落なイタリア人男性がマイクを片手に
フライパンを持ち、意気揚々と説明を始めました。

説明通り「ニンニクの良い香り」がふわりと漂うと、
せっかく周りに集っていたドイツ人の奥様方が
手で鼻を覆い、「まあッ、なんてこと!?」と、
その場をパッ、パッと離れていくじゃありませんか。
ドイツにもニンニクを使う郷土料理が
一応、あるのですが…。


←前回記事へ

2008年5月2日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ