伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第235回
良薬こそ口に甘く!

東洋医療の魅力が長い年月をかけて欧州に伝えられようとも、
アジアと同じくらい身近に普及するのは、
難しそうに見えます。
彼らは決して、東洋医療を低く見ているのではなく、
むしろ西洋医療には無い魅力を
強く感じているようなのに。

「鍼を打ちたいけれど、
自分に打たれるのは怖いからイヤ!(第44回)」と、
強い興味はあっても、どうも食わず嫌いに
なりやすいようです。
そして、東洋生薬のあの「匂い」も、
欧州人にはどうも受け入れがたい様子です。

アジア人なら、何だかばっちり効きそうな気配がする
あの漢方薬の匂い、どうも苦手、
という欧州人が多いです。
漢方薬を自分で煮煎じるとなれば、
煎じる間に出る香りだけでも、
周り中からビックリ大騒ぎされそうです。
鼻を摘んで、苦くて不味いのを
我慢しながら服用するのは、彼らにとっては地獄の沙汰。
無理せずに、東洋生薬を飲まない道を選びそうです。

欧州にも、カモミール、ラベンダー、菩提樹など
西洋生薬が種類豊富にあります。
肉桂や丁子、生姜など
東洋から入っている生薬もあります。
これらまでの香りは許せても、
東洋生薬の香りは苦手なのよ、という具合。
アジアで、「西洋生薬の香りは苦手です」と
人によっては敬遠したくなる気持ちと似ています。

薬に苦味があったり、嫌いな匂いがあったり、
「服用しにくい薬」そのものがどうも許されません。
西洋薬はどれも、飲みやすいタブレットやシロップ。
オブラートに包む手間さえ無いものばかり。

欧州では、「良薬こそ口に甘く!」です。
ここでは、東洋生薬とて、
美味しくて、飲みやすいタブレットやシロップに
変身する必要がありそうです。

皆がハーブティーやハーブドロップを
気軽に口にするのと同じように
ババナ味の葛根湯ドリンク、
オレンジ味の人参栄養湯ドロップ…なんて。
そんな邪道な!とアジアでは笑われてしまうでしょうか。


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2008年5月5日(月)

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