伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第239回
欧州は「0・1(ゼロ・ワン)思考」

「EUを知りたくば、古代ローマを知れ」
の次に気がついた欧州暮らし4番目のポイントは、
「欧州では0・1(ゼロ・ワン)思考」です。

これは「イエス」か「ノー」か、
「要る」か「不要か」など状況を素早く判断し、
その両極端な2つの回答のうちの「1つだけ」を
超スピードで選択し、それを明示しながら、
話し合う場面が多いという意味です。

しかし、「ただ自分の意思さえ明確にすればよい」
というものでもなさそうです。
「1つの答えの後で、相手が何を考えて、
その次の質問をするのかサッパリ見当がつかない」うちは、
お互いに話が続かずに止まってしまいます。
話の流れがギクシャクして疲れるのは、
恐らく「思考の手順」が、ドイツと日本とでは、
違うからだろうな、と思いました。

その後、イエス・ノーのうちの1つを選ぶことをヒントにして、
「コンピュータのプログラムのように、
1つのステップ毎に0・1の2進法が
積み重なっていると考えれば良いんだな」
と気づきました。
それからは、周囲とのコミュニケーションが
だいぶスムーズになりました。

面白いことに、皆の生活風景は
こんなに「ゆっくり・のんびり」でも、
0・1思考なので彼らの頭の判断スピードは
とても「素早い」です。
結論を出すのが早いので、
何か問題が起きると解決に向けた行動も素早いです。

「素早い判断」、「明確な意思決定」、「迅速な対応」など、
のんびりが度を越えて「怠慢」に見えてしまう
日常風景からは程遠い言葉ばかりです。
そんなことは到底、認め難いよ、とおっしゃる方も、
多くいらっしゃるかもしれませんね。

私には、欧州の政治も経済対策も、
先回りが上手で「非常に素早い立ち回り」に
見えることが多いです。

ただ、欧州の多くの国が
「(周囲がすっかり諦めるまで)長時間を掛ける」
という大ワザを持っています。
また、カウボーイの早撃ちのような、
カッコ良いパフォーマンスをできるだけせず、
必要以上に目立たないように
いつも細心の注意を払っているようにも見えます。


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2008年5月14日(水)

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