伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第241回
ドイツは中国の隣人

2007年の暮れから、ドイツ語で記された
中国関連のビジネス書の出版が急に増えています。
しかも、「我が隣人、中国」、「中国をテイクアウト」、
「新しい中国、新しい世界」など、
ドイツと中国のお付き合いも、
いよいよ、ここまで来たんだな…と
思わせてくれるタイトルが並んでいます。

いずれも1冊10ユーロ程度のペーパーバック。
手にとってパラパラとページを繰ってみると、
アジア人として、そして日本人として、
関心を持たざるを得ない内容です。

「戦後の日本はアメリカの影響が大だった。
しかし、日本は中国との付き合いはなかった」
「中国と日本との関係は、今も大変シビアである」、
「中国があるアジアは将来性のある大陸である」、
「ドルとユーロの間にあるのは中国通貨である」、
「ますます距離が縮むヨーロッパと中国の関係」…。

どの本を見ても、話の土台としては、
「日本は、中国との付き合い方が下手なのよ!」
「今こそ、ヨーロッパは中国と共に歩もう!」
という方向が明示されているように見えてきます。

フランクフルト中心部の大型書店で、
5年ほど前、私が住み始めたころには、
中国語の学習教材を棚の中に1つ見つけるのがやっとでした。
中国語教材がほとんど無い代わりに、
日本語教材が棚を占めていました。
その当時は、ドイツ語で学ぶアジア言語と言えば、
日本語だったのでしょうが、
今やその数は中国語とすっかり逆転しています。

その後しばらくは、語学教材が増えるに従い、
中国の風景写真や歴史文化を紹介する本ばかり。
中国の経済状況を一般人に
分かりやく解説しようとするものは、
ほとんどありませんでした。

しかし、ここに来て一気に加速し、
1ケース(1.2メートル幅3段の本棚)を
中国に関連したビジネス書で占めるようになりました。
現代中国の経済や社会と正面から向き合うことで、
ヨーロッパ、とりわけドイツと中国との
新たな時代の幕開けを宣言するに至っています。


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2008年5月19日(月)

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