伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第248回
「邱先生・中国・中国古道具」

紹介状や記入書類は、
なかなか手に入らなかったけれど(第247回)、
コロッセウム型競争で最終解決する提案を
出してくれた方の誠意を、私は、一切疑いませんでした。
疑うどころか、むしろ、そのタイミングの絶妙さと
私には未経験の障害が次々と行く手を阻むという
巧みな出題内容に驚くばかり。

最後のチャンスを投げてくださった出題者に向かって、
せめて私の精一杯の誠意で、
解答を投げ返したいと強く思いました。
模範解答も、マニュアルも無いけれど、
制限時間内に全力で私が考え出したかったのは、
「その出題意図にかなう解答とは何か?」です。

その時、私は「ドイツ暮らしを始める」という、
「崖のぼり」の全く最初の状態を
思い出したかったのだろうと思います。
根拠があってというより、ほとんど直感で、
このドイツ住まいへの崖のぼりには、
「邱先生・中国・中国古道具」の3つが必要だろうと
意識してから、ドイツに向かっておりました。

つまり、「邱先生の物事の見方や考え方」、
「今後の中国の成長」、「私の宿題としての中国古道具」。
この3つが本当に私にとって大事な杖であることを、
上海で今一度、自分の目で確かめれば、
この難問を解くヒントが得られるかもしれない、
と考えました。

久しぶりに上海空港に降り立ってみれば、
以前よりもなお一層の賑やさ。
先生の上海ビルは拭き磨かれてピカピカでした。
上海博物館の最上階には、清朝中国骨董家具が
スポットライトを浴びてずらりと並んでいました。
私の3本の杖は、確実に存在していました。

しかし、フランクフルトへの帰りの機中でさえ、
私は、難問解決に繋がるヒントを探れませんでした。
最終締め切り日まで、あと5日。

時差ボケしたまま、暗澹とした気分で部屋に戻り、
パソコンのスイッチを入れた瞬間、
前方の道筋がすっぱり綺麗に見えました。
私が出すべき正しい解答は、
「ドン・キホーテになりきること!」です。


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2008年6月4日(水)

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