伏見緑さんが語る「あなたの知らないドイツ」

第249回
結論は「ゼロワン・ゼロワン」

その後、残りの数日間(第248回)は必死でした。
「すっかり諦めた」と思われていたのか、
上海に行って何もしなかった日数がかえって有利に働き、
残りの書類を受け取るのはそう難しくありませんでした。
ともかく、締め切り日ギリギリに全て提出終了。

まもなくその団体から知らせが届きました。
「残念ながら本年は定員一杯。あなたを受け入れられない」と。
さあ、こんな結論が出たよ、と出題者に告げました。

折り返し、返答が着ました。
「ならば、やむを得まい。
最初の雇用条件の一部を見直そうじゃないか…」。
長期に渡る「崖のぼり」が終わった瞬間でした。
手出し金額が少し減るだけの小さな見直しでしたが、
ドイツでの暮らしやすさは、大幅に変わりました。

ところで、この出題者とその裁きのスタイルから、
コロッセウム型勝負について、こんなことを学びました。
「欧州の結論は"(0・1)ゼロワン×(0・1)ゼロワン"
の組み合わせで考える」、
これは欧州暮らし、5番目のポイントです。

欧州コロッセウム型競争の裁きのコインは、常に2つ。
A「実利」のコイン、B「名誉」のコインです。
各コインの裏(−;ゼロ)表(+;ワン)とすると、
「+A・+B」、「−A・+B」、「+A・−B」、
「−A・−B」という4つの組み合わせができます。

私は「+A・−B(実利を得て、名誉を失う)」で
対決者は「−A・+B(実利を失い、名誉を得る)」が
今回の裁きだったのでしょう。
この4パターンのどれかに落ち着いたとき、
皆が満足する「勝負の決まり」となります。

欧州の政治経済もこれに似ているように見えます。
「こんな相手と二度と商売するものか!」と
アジア人が憤怒しているのは「−A・−B」です。
「実利を2分の1ずつ、半分こ」する仲良し発想は、
よほどでない限り「最初から存在しません」。

また、「時間とお金」、「戦争と平和」、「人権と環境」など、
「A´・B´」というサブ・コインが
「A(実利)・B(名誉)」のメイン・コインと
組み合わせて、頻繁に使われています。
「4は吉数」と認めがたく、2進法や
組み合わせ行列で考える習慣が少ないアジアでは、
馴染みにくい思考スタイルだろうと思います。


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2008年6月6日(金)

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