石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第20回
総経理は日本人?、それとも台湾人?

センサーモジュール事業の組織体制については、
オグラ社長から、開発部門は日本、製造と営業部門は台湾、
というガイドラインが示されていました。
台湾子会社については、日本人が経営するよりも、
なるだけ現地の人に任せる方向で考えていました。

オグラ技研の親会社では、他の大方の日系会社と同じく、
海外現地法人の経営者は日本から派遣されていました。
オグラ社長は、
いちいち日本側のご意向を「お伺い」しなければ
事が運ばないと嘆く日本人社長や、
逆に日本の親会社のご機嫌とりばっかりで
現地法人の事を顧みない日本人社長の多いことをよく知っており、
そんなことでは的確かつスピーディな経営はできない、
よってトップマネジメントも現地の人に任せ、
権限を委譲することによって
台湾小倉の経営を速やかに軌道にのせたいと考えていました。

では、実際誰にやってもらうのか?ということになりますが、
リチャード譚(タン)さんか?というと、
彼は嘗て合併した半導体商社の契約社員出身で、
まだ知り合って日が浅く、どの程度会社を切り盛りできるのか、
正直言ってよく分かりませんでした。
金持ちのボンボンだったということも、
見方に偏りが生じた原因かも知れません。

コンサルタントのビンセント李(リー)から、
「実は台湾小倉科技の総経理になりたがっている男がいる」
という話が寄せられたのは、そんな時でした。
その男、ミン徐(スー)は、かつてセンサーテック社で
営業のマネージャーをしていた経験があり、
Quanta(廣達電腦)をはじめ、
台湾ノートパソコンOEMのキーパーソンと
良い関係(Good relationship)を築いている、ということでした。

面接のためオフィスに現れた彼は、
大柄な体格の割りに小さな目を
少し落ち着きなくきょろきょろと動かし
あたりを見まわしていました。
ビンセントの時と同様、
少しでもセンサーモジュールのビジネスに
明るい人材を確保しておきたかった我々は、
未知数ながら彼に総経理が勤まるかどうか、
試してみることにしました。


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