石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第27回
開発方針を巡って他人本位の弱さが垣間見え・・・

センサーモジュールのICとソフトウェアの開発は、
親会社であるオグラ技研の関係会社である
シリウス社に委託することにしていましたが、
開発方針、即ち新製品のコンセプトについては、
依頼主である我々が決めなければなりませんでした。
なかなか技術者を雇えない台湾小倉をサポートするため、
オグラ技研から技術担当の取締役であるシミズ氏が参加して、
シリウス社も交えて話し合うことにしました。

台湾小倉としては、
現世代のセンサーモジュールが他社製品に比べ
既に周回遅れになりかかっていることに危機感を募らせており、
今度の新製品には、新機能を盛り込みつつ価格も安い、
「一発逆転」可能なものを期待していました。

これに対して、シミズ取締役は慎重論を唱えました。
オグラ技研はこれまで電子部品を手がけてきた会社だから
ハードには強い、
しかし、ICやソフトといった分野はこれから挑戦する分野で、
そんな簡単に一足飛びのものを開発できるのだろうか?
まず、今あるものを正確にコピー、
すなわちセンサーテック社がゼブラ社に委託製造しているICと、
センサーテック社から
ライセンスを受けているソフトと同等の機能を、
そっくりそのまま
シリウス社で肩代わりできるようにするのが先決ではないか?
その後で独自の新機能を追加したら?というのです。

リスク回避、という意味では正論でしたが、
問題は、そのように開発を二段階にすると、
単純に見積もって1.5倍から2倍の開発期間になることでした。
一方、シリウス社に独自のアーキテクチャ(IC設計の考え方)で
開発を依頼した場合、
最初から独自機能を盛り込むので
開発期間を短縮できる可能性はあるが、
同等のIC開発経験がないだけに、
失敗する可能性も高くなるのでした。

結局、シリウス社が現世代ICのアーキテクチャを分析して
理解するなかで、新機能を盛り込めるかどうか判断する、
という他人本位な結論になってしまったのでした。


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2005年3月3日(木)

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