石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第93回
日僑が北京語を話せないフリをするとき

国をまたいで商売を為す時、
その国の言葉を話せるに越したことはない、と思うのが普通ですが、
時には話せないフリをする方がよい場合もあります。
って本当ですか?

シュリーマンは、ドイツの一寒村に牧師の子として生れながらも、
貧困の中から商人として巨万の富を築き、
その富を使ってトロイアなどエーゲ文明の遺跡を発掘した、
立志伝中の人でありますが、
彼をして、如何に巨万の富を築き得たのか?

その大きな理由は、
彼の類まれなる「語学力」にあった、と言われています。
シュリーマンは10数カ国語を自由自在に駆使できたと言われ、
他の商人よりいち早く情報を把み、
ビジネス・チャンスを次々に掴んで富を築いて行ったのだそうです。
貿易商として大先達である彼の語学学習法は、
著書である「古代への情熱」の中に詳しく書かれていますので、
興味のある方には一読をおススメします。

さて、台湾で商売をする時、
日本人(外国人)であることでトクをしている部分は、
1.お客様のアポを取りやすいこと、
2.鄭重に扱ってもらえること、
3.北京語が話せなくても許してもらえること、
です。
ローカルの営業たちは上記3点すべてで苦労していますから、
お客様にまずたどり着く、という意味では
大きなアドバンテージですが、
裏返せば外様扱いされているということですから、
取り付いた後、どう取り入るか、という部分では
逆にローカルの連中に分があります。

では、どう取り入るか、という部分については
親近感が第一の要素で、
外国人であるにも拘らず北京語が話せたりすると親近感も沸くし、
マル秘情報なども入手しやすくなるわけです。
一方、触れたくない情報をシャットアウトするにはどうするか?
客先購買部門から理不尽な価格・納期要求を突きつけられた場合、
ローカルの担当者に任せるのではなく、
「北京語を話せない」私が出て行く方が、有利に事を運べます。
従って、お客様によっては、
私は未だに「英語しか話せない日本人」ということになっています。


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2005年6月15日(水)

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