石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第101回
あなたのパソコンはどこで作られているか?

インターネットのオンラインショッピングページで
ノートブックパソコンを注文すると、
その注文情報の行き先はどこか、あなたは知っていますか?

そのパソコンが米国ブランド(DellやHP)だったとしたら、
間違いなく組み立て外注先である中国大陸へ飛んで行っています。
ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、
今日現在出荷されているパソコンのうち、実に約8割が
台湾のOEM(受託製造会社)で生産されているそうです。
そのうちの85%(つまり全体の68%)が
台湾OEMが進出した中国の工場で組み立てられています。

なぜ、政治的には緊張の続く両国の間で
台湾企業が2000年代に入ってから
いち早く大陸進出に踏み切ったのか?
それは激しい価格競争に打ち勝ちながら利益を確保するため、
利益率よりも急激な規模拡大のスケールメリットで
利益金額を拡大する戦略をとったからです。
コスト削減のためなら何でもするなかで、
中国大陸の豊富で安い労働力に目をつけました。

中国政府も、何十万人もの雇用や技術ノウハウをもたらしてくれる
台湾企業からの投資を奨励しており、
事実、中国における10大輸出メーカーのうち、
8社が元々外国籍のパソコンや他のハイテク製品を製造する会社で、
ノートパソコンのOEMでは世界第一人者の
台湾Quanta Computer Inc.(廣達電腦)は、第2位となっています。
邱さんの言う、
「両岸は、経済的にはとっくに一つになっている」というのは
こういうところにも顕れているのですね。

ノートパソコンのブランドメーカーでは、
この外注化、あるいは大陸生産の流れに乗り遅れたところほど
苦戦しています。
かつてノートパソコンで世界一のシェアを誇っていた東芝は、
最近大陸での生産や外注比率を大幅にアップして
やっとこさ黒字に転換しました。
パソコン標準機の生みの親であるIBMは、
中国レノボ・グループにパソコン事業を売却しました。
競争がある世界では、国境を越えるのは簡単です。
ダイナミックですね。


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2005年6月27日(月)

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