服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第11回
「掘る話」と「抜く話」

あなたはウェット派ですか、それともドライ派ですか。
もちろんこれは髭剃りのことなのです。
朝起きて髭を剃る。
シェイヴィング・クリームにカミソリならウェット派、
電気カミソリならドライ派ということになります。
あるいは時と場合によって
両方を使い分けるということもあるでしょう。

むかし暇でお金のある男たちは床屋で髭を剃らせた。
これを「当る」、「当らせる」と言ったものです。
なにごと名人というものはいるもので、
客の注文によって時に1本1本深剃りをすることがあった。
これなら2日ほど髭を剃る必要がないのです。
これを「掘る」と言いました。
髭を掘る、言い得て妙ではありませんか。

さて、今は時代が変って髭剃りもより簡単、
よりすばやく行うのが主流になってます。
むかし30分かけたとするならば
今は3分で済んでしまうでしょう。
ところでウェット派、ドライ派を問わず、
どうしても剃り残しが出ることがある。
たとえば顎の後ろあたり、耳の下あたりなどですね。
剃り残しの1本、気にしはじめると
イライラすることがあります。
こんな時に効果的なのが、「抜く」ことです。
剃れない時は、抜く。
むろん毛抜きを使って抜くわけです。

耳のあたりに2・3本毛が生えている場合にも
ここの「抜く」作戦を応用することができるでしょう。
少なくとも毛抜きは女性専用ではありません。

ここまで目を通したところで、
近所の店に毛抜きを買いに走る人がいるかも知れません。
が、もう少し話の続きを。
安物の毛抜きだけは買わないで下さい。
滑って、毛や髭をうまくつかめないことがあるからです。
必ず刀物屋へ行って、
「えっ、毛抜きがこんなに高いの」と思うものを
ひとつ買い求めて下さい。
これなら確実にキャッチし、気持ちよく抜ける。
上等か否かでこれほど違いの分る代表選手。
それは毛抜きなのです。


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