服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第17回
ネクタイと指環の深い関係について

”オナシス・ノット”というネクタイの結び方を知っていますか。
かつて船舶王と謳われた
アリストテール・オナシスが好んだスタイルです。
一度プレーン・ノットに結び、
大剣をもう一度くぐらせて仕上げる。
つまり結び目が見えないので、
まるで結んでいないかのような印象を与えるものです。

ところで今、突然に、まったく新しい
ネクタイの結び方を思いつきました。
発明とはオーバーでしょうから、
考案ということにしておきましょう。

まず用意するものは1本のネクタイと、1個のリング(指環)。
必ずしも指環でなくとも、指環状のものでも結構です。
好みによってはカレッジ・リングのような指環
ということもあるでしょう。

まず指環にネクタイを通してゆく。
これは小剣のほうからはじめたほうが通しやすいでしょう。
ほぼネクタイの3分の1位の所で止めます。
ここでネクタイの形を整えて下さい。

さて、指環を通したネクタイをシャツの襟に通す。
そして小剣の上に大剣をわけて通すだけ。
つまり指環を通した部分が
まるで結び目のように見えるやり方なのです。
結ばない結び方、とでも言えば良いでしょうか。

この結び方の良い所はネクタイが永保ちすることです。
結ばないのだから当たり前でしょう。
一方、欠点らしきものを探すなら、
ややゆるみやすいことかも知れません。
でも結んでいないことから来る、
首まわりの楽さ加減もまた魅力的なのです。
言うまでもないことですが、ふつうの結び方に較べて、
小剣が大剣よりずっと長くなってしまいます。
この長すぎる小剣は、
大検のループ・レイベル(織ネーム)などに
巻きつけておけば良いのです。

この”リング&タイ”に
果して人気が集るかどうかはさておき、
なにかひとつくらい自分らしい結び方を
知っておきたいものではありませんか。
ネクタイは唯一、自分の手で仕上げる装飾品なのですから。


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