服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第24回
「骨」をつくる話

ワイシャツの襟にはまず例外なく「骨」が入っています。
小さな、細長いプラスチック製の芯のことです。
時に襟の中に縫込まれている場合もありますが、
最近では着脱式になっていることが多いようです。
襟が必要以上にはね上がったりしないようにするのが
目的であることは言うまでもありません。

日本語ではふつう「カラー・キーパー」
単に「キーパー」とも言います。英語では”カラー・スティ”
あるいは”カラー・ボーン”とも言います。
つまり襟の「骨」というわけです。
むかしから余裕ある人はこの「骨」にも凝ったもので、
シルヴァーやブラス製のカラー・スティを
1組2組と用意しておいたりしたものです。

しかし本当のことを言えば「骨」は次善の策で、
「骨」が無くても型崩れしない襟が理想的なのです。
襟がはね上がる主な原因は体型からくるもので、
首と襟とを完全に訂算すれば、
かなりの程度はね上りを防ぐことが可能なのです。
と同時に襟の美しさとしても、
あまりにピンとしすぎた襟よりも、
ごく自然の丸味を持っているほうが
優れているのではないでしょうか。

さて「骨」の話に戻りましょう。
私は「骨」の材質としてはプラスチックよりも
むしろ硬質ゴムのほうが適しているのではないかと思います。
たとえば防音シートや防震シートに使われるような硬質ゴム。
ただし薄くなくては襟の下に入れることができないのですが。

たとえば東急ハンズのような店で
薄い硬質ゴムを見つけたなら、1枚買ってくる。
それで自分のシャツの「骨」に合わせてカットする。
果して上手くいくかどうか実験してみるのも
良いのではないでしょうか。

そもそも「骨」は洗濯などの際に失くしやすいものなので、
予備があると安心です。
ワイシャツは既製品だけれど、
見えない「骨」は手づくりだぞと、自慢してみましょう。


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