服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第26回
赤い靴下の秘密

知人のおひとりにAさんという方がいらっしゃいます。
自称「青年」のその方は、社会的にも成功され、今も現好。
実年齢は80を越えているはずです。
この「青年」はそもそもおしゃれなのですが、
いつも感心させられるのは、靴下。
まっ赤な靴下がお好き。
いつだったかタキシード姿に赤い靴下を履いて、
まわりの人たちを煙にまいたことさえあります。

Aさんの若さの秘密は
この赤い靴下にあるのではないかと思います。
いや、もっと正確に言えば、
赤い靴下を履こうとする赤い気持ちが若さの秘訣なのでしょう。

着こなしのイロハからすれば、
目立たない靴下こそが常道なのかも知れません。
黒い靴なら黒や紺やグレイといったダークな色調のものでしょう。
しかしよく考えてみれば
男の靴下は常に人眼にさらしているわけではありません。
立っている時はほとんど見えず、
歩いたり座ったりすると少し見える。
この少し見えるという状態は視覚的には大きな効果を持っています。
黒い靴の上からほんの少し赤い靴下が見えたなら、
誰しもはっとさせられてしまうのです。

見る人をはっとさせるということは、
こちら側もまた常に心地良い緊張感を持っている必要があります。
つまりおしゃれを心がけることは、若さを保つ秘訣なのです。

ちょっとスポーティーなスタイルの時に、
白い靴下を履く人がいます。
でも私としてはあまりおすすめしたいものではありません。
白いコットンの靴下は、
紀然たるスポーツ・ウェアに限定したほうが賢明です。

その代りというわけではありませんが、
なにか好きな色を選んでみませんか。
もちろん赤でもいいでしょうし、イエローでもピンクでも
グリーンでもヴァイオレット・・・などなど。
たかだか靴下の色を変えてみるだけで、
気分が若々しく保てるのなら、こんな簡単なことはないでしょう。


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