服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第56回
蝶ネクタイで遊んでみよう

タキシードを着たことがありますか。
いやあ、ボーイに間違えられちゃってね、
とはよく聞かれる冗談です。
でも、この冗談、本当はあってはならないことなのです。
というのは、正式な晩餐会では必ず客とは違う正装を
サーヴィス側の人間がすることになっています。
そこまで正式でなくとも、
タキシードにわざと白い蝶ネクタイを結ぶことがあります。
これも客と混同しないための配慮なのです。

まあ、それはともかくとして、
誰しも自由自在にタキシードが着られたらなあ、
と思ったことはあるでしょう。
これは実はタキシードそれ自体というよりも、
むしろシャツやネクタイなどの
アクセサリーの選び方にあるようです。

タキシードにはふつう
ブラック・タイ(黒の蝶ネクタイ)を結ぶことになっています。
ついでながら”ホワイト・タイ”は
燕尾服用ということになっています。
このブラック・タイがまず問題なのです。
たいていは結び切りの蝶ネクタイを
買ってしまうことが多いのです。
これはもう最初から形が決まっていますので、
どうしても固い、格一般な感じになってしまいます。
少し熱心に探すと、必ず本結びの、
本格的な蝶ネクタイがありますから、
これを自分の手で結ぶ。
そうするとどうしても左右対称とはいかず、
ここにかえってその人なりの味わいが生まれるのです。

”プレ・タイド・ボウ”(結び切りの蝶ネクタイ)は、
むかしはサーヴィスに従事するユニフォーム用として、
簡単に着脱できるよう考案されたもの。
それがいつの間にか一般に普及してしまったのです。

さて、もうひとつの方法は、
黒以外の蝶ネクタイを選んでみる。
たとえば水玉模様であるとか、ペーズリー柄であるとか、
古典柄を織込んだ蝶ネクタイを結んでみましょう。
ただしこの場合、カマー・バンド、
もしくはドレス・ヴェストを蝶ネクタイと
同じ色柄で揃えるのが原則となっています。


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2002年11月18日(月)

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