服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第61回
スェーターを愉しむコツ

スェーターがなぜ温いか知っていますか。
ウールで編んでいるから?
もちろんそうですが、かつては発汗用の運動着だったからです。
だから”スェーター”sweater
(「汗をかかせるもの」)の名前があります。
20世紀はじめ頃の話で、
さらに古くは寒い地方の漁師の
労働着としての歴史を持っていることはご存知でしょう。

軽い、温い、着ていて楽・・・。
スェーターの長所は数多くあります。
しかもおしゃれの小道具としても活躍してくれるのですから、
これほど心強いものもありません。
まず第一に色が愉しめる。
赤い上着を着るのは抵抗がありますが、
赤いスェーターならまったく問題ないでしょう。

もし本当に色を愉しもうとするなら、
好みのデザインを特定することをおすすめします。
Vネック、ボート・ネック、タートル・ネック・・・。
スェーターのスタイルはひとつに決めて、
その代り色については6色、8色、10色と
数多く揃えてはどうでしょうか。
白、黒、グレイ。あるいはイエロー、グリーン、ピンク・・・。
いつも同じようなスタイルだけれども、
いつも美しい色のスェーターを着ているというのは
素敵なことではないでしょうか。

スェーターの色を上手に愉しむコツは、
それに合わせるシャツやトラウザーズの色を
シンプルに抑えることです。
たとえばダーク・グレイのズボンにオフ・ホワイトのシャツ、
そしてワイン・カラーのスェーターを着る、といった具合に。
毎日、スェーターの色を変えることは、
単に自分自身の気分転換というだけでなく、
スェーターにそれだけ休養を与えることでもあります。
つまり結局は永保ちしてくれるわけです。

しかしそれでもスェーターは着つづけることによって、
肘が丸くなったりするものです。
こんな場合はスチーム・アイロンをかけてあげましょう。
ウールの温度に設定して、当て布をした上から、スチーム。
美しく復活します。


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2002年11月23日(土)

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