服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第64回
ワーク・シャツは働き者です

ワーク・シャツを着たことがありますか。
たいていは丈夫なデニム地で、両胸にポケットが付き、
袖ボタンの数も多くなっています。
そのボタンもふつうの貝ボタンではなく、
スナップ・ボタンであることが多い。
実はこれ、手袋したままでも
開け閉じができるための工夫なのです。
”ワーク・シャツ”の言葉通り、
もともとは作業用であったことを示しています。

しかし現在の、新しい目で見直すと、スポーティーで、
応用範囲の広いシャツであることに気づきます。
同じ「シャツ」でも下着的ではなく
むしろ上質的な感じを持っている。
つまり寛いだ気分のときには上着を省略して
シャツだけでもなんの違和感もないのです。

男の冬支度は、シャツを着、上着を着、
そしてコートを羽織るというのが一般的でしょう。
けれども暖房の普及で室内外の気温差が大きくなっています。
外はたしかに寒いけれど、一歩室内に入ると暑いくらい、
ということも珍らしくはありません。

礼儀上、上着が必要ないのなら、
コートとシャツで良いではないか、
というのが私の考え方です。
戸外ではコートを羽織り、室内ではシャツ一枚で過ごす。
そのために必要なのは、軽くて、温かく、動きやすいコートと、
まるで上着の代りをしてくれるようなシャツ
ということになります。
その身近な代表例が、ワーク・シャツなのです。

今は、保温と機能の面から
コートとシャツの着こなしを考えてみたわけですが、
近未来的にもこのような方向はふえてゆくと思われます。
つまり上着のようなコート、
上着のシャツがもっと愛用されるようになるでしょう。

それはともかく、もう一度ワーク・シャツを
新しい感覚で着こなしてみようではありませんか。
なるべく丈夫で、しっかりとしたデニム地のものを選びましょう。
洗濯後干すときに、しっかりとシワを伸ばしておけば
アイロンの必要はありません。


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2002年11月26日(火)

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