服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第65回
服装に年齢はありません

弱冠(じゃっかん)という言葉を知っていますか。
ふつう「若干○○歳にして」などと言いますが、
正しくは弱冠です。
むかし、中国、周の時代に、
男は20歳で元服したところからこの言葉があります。
髪型を変え、冠をかぶり、服装をあらため、
大人の自覚を求められたのです。

今、成人式がありますが、
成人式を迎えると誰もが「大人」になるわけではありません。
むしろ現在は「大人」になるのが
難しい時代ではないでしょうか。
だからこそ、「大人の男」であることは見事だし、
素晴らしいことだと思います。

では「大人の男」とは何でしょうか。
それは実際の年齢とは関係ありません。
30で「大人の男」を意識している場合もあれば、
40で大きな子供であることも少なくないでしょう。
大切なことは心の成熟度です。
常に大人の心を持って考え、
行動できることが「大人の男」なのです。

さて、ここで「大人の服」を考えてみましょう。
「大人の男」がジーンズを穿いたらおかしいでしょうか。
そんなことはありません。
若者のジーンズもあれば、大人のジーンズだってあります。
同じジーンズであってもそれを穿く人によって、
若者用となり大人用となるのです。
つまり服そのものに年齢があるのではなくて、
穿く人と穿き方によってその印象は最終決定されるのです。

最初から若者用と大人用とがあるわけではありません。
ただし、正しい服と正しくない服、という違いはあります。
私はここで「大人の男」に自信を持って、
積極的に正しい服を着ましょう、と提案をしていきたいのです。

服は人の包装紙にすぎません。
白い、無地の包装紙のなかに
極上のカステラが入っていることだってあるでしょう。
「大人の心」を持って
正しい服を着ることが最上の方法なのです。
それをむしろ若者が真似てくれることが理想だと思います。


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2002年11月27日(水)

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