服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第89回
そうだ、着物を着てみよう

着物を着たことがありますか。
ここで約半数くらいの方が「いいえ」と答えるはずです。
でも、それは正確ではありません。
旅館やホテルに泊ると、浴衣が出てきます。
浴衣ももちろん、着物。
するとたいていの人が着物を着たことがある、
という答えになってしまうでしょう。

今でも私は時として着物を着ることがあります。
子供の頃、よく着物を着せられたせいでしょうか。
着物を着ると、懐しい家に帰ったような気持になります。
少なくとも気分転換をする上では着物は実に効果的です。
「日本人に戻るために」と言えば気障になるでしょうか。

着物の第一の特徴は絹であることです。
木綿や麻やウールの着物もありますが、
今の時期に着物といえばまずたいていは、絹。
洋服で上から下まで絹というと、
贅沢という以前にちょっと特殊な印象を
与えてしまうかも知れません。
でも着物ならシルクが当り前なのです。
絹は肌ざわりが良く、夏涼しく、
冬暖かい生地という利点もあります。

着物は窮屈だから嫌だ、という人がいます。
これは誤解です。
洋服と和服の違いは、服を身体に合わせるか、
身体に服を合わせるかにあります。
着物のサイズやシルエットは
ある程度自分で決められるので、むしろ楽だと思います。
要は慣れの問題。
生まれてはじめてスーツを着ると
窮屈に感じるのと同じことです。

同じように、着物は動きにくい、というのも誤解でしょう。
鞍馬天狗も丹下左膳も着物姿で
大立廻りを演じているではありませんか。
堀部安兵衛なんて、
高田馬場まで着物でずっと全力疾走したのですから。

着物を着ない理由はいくらでも並べられますが、
着物が魅力的であるという事実の前には負けてしまいます。
ことに外国のパーティーでは洋服姿よりも
和服姿のほうがはるかに有利です。
この機会に着物を着てみませんか。


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2002年12月21日(土)

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