服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第91回
角帯は着物のネクタイです

帯の結び方を知っていますか。
男の帯は大きく分けて2種あります。
兵児(へこ)帯と角帯です。
兵児帯は略式のもので、
私としてはぜひ角帯をおすすめします。

代表的な角帯は博多織で、緻密で、
しっかりとした織り方が特徴のものです。
俗に「献上」(けんじょう)と呼ばれます。
これは江戸時代、黒田藩が
将軍家に献上したところからの名前です。
目のつんだ畝が表面にあらわれているので、
すぐに博多帯だと分るでしょう。

角帯の結び方もネクタイと同じように、
実にさまざまな種類があります。
でも、もっともよく使われるのは、貝の口。
貝の口だけは必ず覚えるようにして下さい。
それほど難しいものではありません。
慣れた人は手さぐりでも結べてしまうほどです。
はじめて角帯を買った時、
たいてい図解の説明が付いていますから参考にして下さい。

角帯を結ぶときは必ず前で結びます。
結び目が手でさわると切れるのでは、
と思われるほどシャープであるのが良いとされます。
結び目が完成したところで、
少し腹の力を抜くと同時に、後へ回します。
結び目が背中の中央よりごくわずか
どちらかに片寄っているのが粋とされるのです。

角帯を結ぶ時にもっとも大切なこと。
それは必ず腰骨の上にきっかり来るように結ぶことです。
腹に締めると間違いなくゆるんできます。
でも、腰骨のま上ならまずゆるむことがありません。
つまり着物の初心者が考えているよりも、
もう少し下の位置で結ぶのです。

着物の帯はスーツにおけるネクタイによく似ています。
紺の着物に紺の帯では野暮になってしまうでしょう。
着物とのコントラストを考えるべきです。
「着物は帯で決まる」とは着物通の言葉です。
ダーク・スーツに印象深いネクタイを結ぶのと
まったく同じ考え方でしょう。
帯が上手に選べ、結べるようになると、
着物が本当に楽しくなってきますよね。


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2002年12月23日(月)

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