服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第93回
大切な着物の基本です

「右前」(みぎまえ)という言葉を知っていますか。
これは服を着る人に向って立ち、
服の前合わせの右側
手前になっていることを言います。
これに対して左側が手前にくるのが「左前」です。
洋服の場合は男性の服が「右前」、
女性の服が「左前」であるのはご存じでしょう。

でも、着物の場合は例外なく「右前」に着ます。
これは女性でも男性でもまったく同じなのです。
東洋の考え方では「左前」は縁起が悪いことになっています。
ですから着物は下着を含めて、すべて右前が基本なのです。

さて、実際に着物を着てみましょう。
まず最初に肌じゅばん。
次に長じゅばんを着て、
その上に長着(ながぎ「着物」)を重ねます。
もちろんこの前に足袋と下着をつけておくことは
言うまでもありません。

肌じゅばんは着丈の短いもので、
吸湿性などを考えて、
たいていは木綿地などで作られています。
肌じゅばんは純然たる下着ですから、
外側からは見えないように着て下さい。
しかし長じゅばんの襟は着物から
少しのぞくように重ねることになっています。

次に大切なのは、左右対称に着ること。
まっすぐに着る。
このための簡単な方法は、
着物の両端を左右の手で持って前に伸し、
同じ長さになっていることを確めてから、重ねる。
こうすれば間違いなくまっすぐ
着ることができるでしょう。
この方法は着物だけでなく、
肌じゅばん、長じゅばんについてもおすすめします。

さて、肌じゅばん、長じゅばん、着物と重ねたところで、
腰骨の上に下帯を結ぶ。
そのほうがより安定し、角帯が結びやすくなります。
帯を結んでほぼ完成です。

着物の着丈はだいたいくるぶしまでの長さが標準となります。
一般的に着丈の長いほどドレッシー、
短いほどスポーティーと考えて良いでしょう。
まあ、習うより慣れろと申しますから、
ぜひ一度着物を着てみて下さい。


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2002年12月25日(水)

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