服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第96回
暖い着物の秘密

着物を暖く着こなす方法を知っていますか。
「着物は良いけれど、寒いからなあ」
とおっしゃる方が少なくありません。
着物はたいてい絹で、
絹の重ね着は本来は暖いものなのです。
ただ胸元や袖口が開放的であるために、
どうしても風が入ってくるという欠点はあります。

もし本当に着物を暖く着ようとするなら、
下にスェーターを重ねる方法があります。
これはもう絶対に暖い。
少し薄手のタートルネック・スェーターがおすすめです。
えっ、着物にスェーター、と驚かないで下さい。

むかしの書生さんスタイルは
着物の下にバンド・カラーのシャツ
(ワイシャツの襟を外したもの)を重ねたものです。
あれは明治の和洋折衷でありました。
ならば平成の和洋折衷があっても良いではないですか。

足袋と下着の上にタートルネック・スェーターを着て、
その上から着物を重ねるわけです。
論より証拠、間違いなく暖い。

しかしここにもうひとつ問題があります。
それは足もとが寒いことです。
上半身はスェーターを着るとして下半身をどうすれば良いのか。
そのためにむかしの人は股引きを穿いたのです。
股引も以前は脚にぴったりとした布地でしたが、
最近ではメリヤス地で、あまり格好の良いものではありません。

そこでおすすめしたいのが、男性用のタイツ。
タイツですから靴下の部分もちゃんとある。
その上から足袋を履く。
すると爪先まで暖くて、文句なしです。
もちろん下半身だって充分に暖い。
まさに鬼に金棒といったところでしょう。

さて、もう一歩進めて、スェーターとタイツの色を揃えてみる。
たとえば黒のスェーターに黒のタイツ。
するとまるでボディ・スーツの上に着物を着ているような感じで、
これもまた新しいスタイルと考えて良いのではないでしょうか。
伝統としての良い面は残しつつ、
新しい工夫ももっと取り入れてみましょう。


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2002年12月28日(土)

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