服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第125回
ブレザーの似合う人の秘密

ブレザーの語源を知っていますか。
実はブレザーの語源説は大きく分けてふたつあります。
ひとつはボート・クラブの
ユニフォームから誕生したという説。
もうひとつは船の制服から生まれたという説。

今日は船の制服のほうをお話しましょう。
むかしイギリスにブレイザー号Blazerという船があった。
ある時、ヴィクトリア女王が
ブレイザー号を訪問されることになった。
そこで船長は船員たちに紺色の制服を与えて
失礼がないようはからったというのです。
さて、どちらの説が正しいのでしょうか。

それはともかく「ブレザー」はある種の和製英語で、
正しくは“ブレイザー”blazerでしょう。
また「ブレザーコート」と呼ぶ必要もありません。
“ブレイザー”という名前の上着なのですから。

言うまでもありませんが、
ブレザーにもシングル前とダブル前とがあります。
そしてブレザーというとごく自然に、
紺のダブル前を思い浮べる人が多いようです。
でも私としてはシングル前で、
3つボタン型のブレザーのほうがより基本だと思います。
シングルのブレザーにすっかり馴染んだところで、
ダブルのブレザーへと移るほうが理想的です。

少なくともシングル前ブレザーのほうが
応用範囲が広いことは間違いありません。
紺のブレザーにグレイのパンツを合わせて、
ネクタイを結べば、
ほとんどスーツの延長としても着こなせるほどです。

ブレザーの選び方は典型的なスタイルに注目することです。
たとえば両脇のパッチ・ポケット(貼付けポケット)。
むかしのブレザーは一重(ひとえ)仕立てだったので、
ポケットの内袋が内側で邪魔にならないよう、
パッチ・ポケットを採用したのです。
胸ポケットについても同じ理由であることは
言うまでもないでしょう。
でも結局は、基本的な、伝統的なスタイルのほうが
着こなしの範囲が広くなるのです。
どうかブレザー名人になって下さい。


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2003年1月26日(日)

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