服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第136回
ヴェストこそ最上です

ウェイストコートという言葉を知っていますか。
これはイギリスで「チョッキ」を意味します。
アメリカで“ヴェスト”、
イギリスで“ウェイストコート”。
ついでながらフランスでは“ジレ”giletと言います。

ところで英国ではなぜわざわざ「ウェイストコート」と言うのか。
ひとつには“ヴェスト”vestでは
あまりにも意味が広すぎるからでしょう。
“ヴェスト”の語源はラテン語の
“ベステム”vestem(「衣服」の意)なのです。
“ヴェスト”こそ衣服の源である、
と言っても過言ではないでしょう。

ここではっきり予言?しておきますが、
21世紀、22世紀にはチョッキが
今の上着代りに着られるようになるはずです。
それほどにチョッキは多様な着こなしが可能であり、
機能的で、また未来的な服装でもあります。
その割に、日頃チョッキは
冷遇されているのではないでしょうか。

ふだんスーツを着る場合でも、
チョッキを省略して
トゥピース・スーツとして着こなすことが多いようです。
スリーピース・スーツをはじめ、
オッド・ヴェスト(変わりチョッキ)などを含めて、
もっと上手にヴェストを活用しようではありませんか。

しっかりと重ね着をして、
その上にさらに保温性に富んだコートを羽織ったとしましょう。
このような場合は、部屋のなかでは上着さえ不要でしょう。
もしそうであるなら、
最初から上着なしの組合わせを考えようではありませんか。

でも、シャツ一枚で人前に出るのも具合が悪い。
そこでヴェストが大活躍してくれるわけです。
時と場合にはシャツにタイを結んで、ヴェストだけを着る。
とくに問題がないなら、
オフィスでも充分ではないでしょうか。
寒い外ではコートを羽織る、
暖かい部屋のなかではヴェスト姿で過す。
これも新しい、合理的な考え方のひとつではないでしょうか。
チョッキ、ヴェスト、ジレ・・・さあ、何を着ようか。


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2003年2月6日(木)

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