服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第137回
ヴェスト・スーツに挑戦してみよう

チョッキを上着代りに着たことがありますか。
チョッキを着こなしの主役として考えてみましょう、
という提案です。
ヴェストの独立宣言。
少しおおげさに言えば
そういうことになるかも知れません。

たしかに上着(背広)は便利な代物で、
礼節を示すにも役立ってくれるでしょう。
でも、その一方で窮屈な一面もあります。
今、オフィスでごくふつうに働く男たちは
たいてい上着を脱いでいるではありませんか。

つまり消極的な言い方をするなら、
ワイシャツ一枚よりもヴェスト姿のほうが
はるかにすてきですよ、と強調したいのです。
もっとチョッキを上手に着ようではありませんか。
これこそヴェスト・ドレッサーですね。

スリーピース・スーツ − ジャケット = ヴェスト・スーツ
シャツにタイを結び、パンツとヴェスト。
あえて上着を省略する。
たったそれだけで自分なりのヴェスト・スーツが誕生します。

ヴェスト・スーツ着こなしのなかで注意すべきは、
上下の接続部分です。
つまりヴェストとパンツが
よりなめらかにつながっている状態が理想なのです。
この場合、ベルトが邪魔になったり、
目立ったりしないようにしましょう。
なるべくなら、ベルトなしで穿くパンツか、
あるいはサスペンダーを使うことをおすすめします。
とにかくヴェストとパンツを可能な限り一体化させることが、
着こなしのコツなのです。
パンツの股上が浅すぎるために、
ヴェストの下からシャツがはみ出すようでは困ります。

ひとたびヴェスト・スーツに慣れたなら、
これほど快適な服装もない、
という新しい発見をするはずです。
さて、そうなってくると
さまざまな変化を楽しみたくなるでしょう。
たとえばダブル前のヴェスト、あるいは襟付きのヴェスト、
胸ポケット付きのヴェスト・・・。

ヴェスト・スーツの多様性と楽しみはほとんど無限。
ぜひ一度トライしてみて下さい。


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2003年2月7日(金)

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