服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第139回
ヴェスト・スーツを仕立ててみませんか

ヴェスト・スーツを作ったことがありますか。
注文服であろうとイージー・オーダであろうと、
たいていは背広上下、
あるいは三つ揃い背広ということが多いようです。
場合によってはジャケット(上着)だけを
仕立ててもらうことはあるでしょう。
でも、上着は要らないから、
チョッキとズボンだけという注文は
まず珍しいのではないでしょうか。

けれども私としてはヴェスト・スーツを
ひとつの完成形と考えることがあっても良いし、
おそらく近い将来、それもひとつの選択だ
ということになるだろうと思います。
一方、洋服屋のほうでももっと情報公開して、
上着はいくら、チョッキはいくら、
ズボンはいくらと最初から設定しておけば、
客のほうでも分りやすいし、注文しやすいでしょう。

今現在でも、日頃から親しくしている洋服屋なら、
値段の折合いさえつけば、必ず作ってくれるはずです。
またはじめての店であっても、
一着は背広上下、一着はヴェスト・スーツ
といった具合にセットで注文すれば、
たぶん受けてくれるでしょう。

さて、ヴェスト・スーツは具体的に
どのように注文すれば良いか。
まず最初にシルエットがはっきりと違う。
三つ揃いのチョッキよりもゆとりを多くとるべきです。
またパンツとのバランスを考えて、
ウエスト部分での重なりを多目にとるようにします。

三つ揃い背広のなかのチョッキはどうしても
「内着(うちぎ)」とでも名づけたい存在になるのですが、
ヴェスト・スーツの場合は立派な上着なのです。
この点をしっかり頭に入れておくことです。
できれば胸ポケットはあったほうが良いし、
内ポケットを付けると大いに役立ってくれるでしょう。

さて、チョッキの背広にはたいてい裏地を付けます。
これは上着を着る時に滑りが良いからです。
でもヴェスト・スーツであれば
表地と裏地でも良いでしょうし、
サイズ調節用の尾錠など不要だと思います。


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2003年2月9日(日)

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