服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第140回
カシミア・コートの選び方

カシミア・コートの選び方について
読者の方からご質問をいただきましたので、
お答えします。

たいていの人にとってカシミア・コートは
あまりにも常識的である、と思われるでしょう。
でも、総合的に考えてカシミア・コートは
たいへんバランスがとれています。

私たちの手が出ないほど高価ではなく、
しかも充分に軽くて温かいからです。
これは1本1本の繊維がこの上なく細いために、
しっかしとした安定性の高い空気層を
保ってくれるからにほかなりません。

ごく単純に言って、繊維が細く、
上質であるほど保温性が高いと考えて、
間違いはないのです。

一般に、カシミアの良し悪しは
玄人(くろうと)には分り、素人(しろうと)には分らない、
と考えられています。
でも、そうとは限りません。
たしかに最初は雲をつかむように難しいでしょう。
が、練習を重ねれば必ずある程度分るようになります。

まず、質の異なるふたつのカシミアを用意します。
実際には自分が買おうとしている二着のコートで良いのです。
そのふたつを右手と左手の指先で静かにさわります。
この時、眼を閉じたほうが
より指先に神経を集中できるでしょう。

さて、その感触はどうか。
乱暴に言えば、より柔らかいほうが必ず上質です。
そしてさらにその柔らかさの奥に、
指を吸いつけるようなぬめり感があったなら、
さらに高級と考えるべきです。

以上のような練習を何度も何度も繰返してみれば、
ある日突然、上質のカシミアとそうでなカシミアとの違いが
はっきり分るようになります。
そしてそれは必ず、軽くて温かいのです。

カシミア・コートは一着を永く着るものですから、
オーソドックスなデザインが良いでしょう。
たとえば銀座四丁目の「和光」(03-3562-1111)
の6階の紳士売場などはいかがでしょうか。
ぜひ参考にして下さい。


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2003年2月10日(月)

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