服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第157回
理想のビジネス・スーツとは

ビジネス・スーツはどうあるべきか考えたことがありますか。
つい先日前、ブチェラッティという
イタリア人に会う機会がありました。
有名な宝飾店の三代目の社長で、40代の紳士です。

このブチェラッティさんが着ていたのは、
ダーク・グレーのスリーピース・スーツ。
チョーク・ストライプの柄で、
シングル前3つボタン型を、真ん中のボタンだけで留めている。
つまりこの上なくオーソドックスなデザイン。
いや、むしろクラシックなスタイルといったほうが
良いかも知れません。

今、たまたまブチェラッティさんの例をあげたのですが、
ヨーロッパの経営者のスーツはたいていこのようなものです。
つまりあくまでもベイシック・スーツ。
ただし生地の質が極上であったり、
すべて手縫いであったりという違いはありますが。

私は一応プロのつもりですから一目で分りましたが、
ブチェラッティさんのスーツも手縫いでした。
永年つき合いのある洋服職人に縫ってもらったそうです。
ただしヨーロッパも今は総手縫いの服は絶滅寸前でしょう。
―いや、たとえそんなことが分らなくても、
全体の雰囲気から信頼感が伝わってくるスーツであります。

相手に信頼感を与える。
これもまたビジネス・スーツの大切な機能でしょう。
しかもただ着ているだけで、
言葉なども要らないわけですから便利というものです。
こんな便利な道具を上手に使わない手はないでしょう。

さて、ヨーロッパの経営者スタイルはさておき、
フレッシュマンもデザインにおいてはまったく同じことなのです。
ベイシック・スーツであればあるほど、
その人物への信頼感が高まる。
ただし極上の素材である必要はありません。
もちろん手縫いの服は高嶺の花です。

でも同じようなスタイルをいつか、上質の生地で、
注文服で作ってもらおうという夢が必要なのです。


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2003年2月27日(木)

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