服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第171回
正しいパンツ丈こそおしゃれの第一歩

パンツの裾上げを自分でしたことがありますか。
プレタポルテのスーツの場合、
パンツの裾は着用者のサイズに合わせられるようになっています。
ごく普通には購入時、採寸をして
店のほうで裾上げをしてくれる。
ただし多少の日数がかかる。

たいていの場合、私は自分で裾上げをするのです。
たぶん買ったらすぐに穿いてみたいからでしょう。
それに自分の好みに合せて微調整ができる点も有難い。
たとえば私は約5mmほど左脚のほうが長い。
自己満足といえばそれまでですが、
右脚だけを測って「はい、どうぞ」というやり方を
防ぐことができるのです。
また、裾口の前部はやや短く、
後部はやや長くすることもできるでしょう。
つまり横から見ると、右下りになり、
より靴の形にフィットする裾口になるわけです。

パンツの裾上げはそれほど面倒ではありません。
要は慣れの問題です。
まず最初にサイズを測る。
私の場合なら、82.5cmと82cm。
次にスチーム・アイロンを使って裾口の丈を決める。
それからいよいよ糸と針で縫う。
裾口を裏返してから、千鳥縫いにする。
縫糸のかたちがジグザグになる縫い方です。
針と糸はどうしても苦手だ、という場合には
裾上げテープを使う方法もあります。
これはアイロンの熱で接着する専用のテープで、
洋装材料店に売っています。

どうしてここで裾上げの話をしたのか。
フレッシュマンにとくに多く見られるのが、
パンツの丈が短かすぎることが多いからです。
むかしの洒落着は“ブレイク”という言葉を使ったもので、
裾口が靴の甲にかかって、
少し崩れるくらいが最適の長さだと考えたのです。
少なくとも直立した状態で靴下が見えるのは、
あまりにも短かすぎる。

絶対に短いパンツは穿かないように。
これは多少パンツが下がっても、
パンツの穿き方が下手でも気づかない欠点もあります。
正しいパンツ丈を、しっかり上に上げて穿く。
これがおしゃれの第一歩なのです。


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2003年3月13日(木)

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