服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第182回
会話のおしゃれ

会話の音量ということについて考えたことがありますか。
喫茶店で、レストランで、あるいはまた電車のなかで、
大声で話している人がいます。
私はあれは言葉の暴力ではないかと思ってしまうほどです。
どうしても大声を出したいのなら、人里離れた山中か、
自分の部屋の中でやってもらいたいものです。

会話というものは、相手に声が届けばそれで良いのです。
一人と会話する、二人と会話する。
静かな部屋で会話する、多少騒がしい場所で会話する。
―もちろんその時その時の状況によっても違ってくるでしょう。
しかしそれをきちんとコントロールできるのが、
本当の大人であり、社会人だと思います。

口ゲンカしているわけでもなく、
また酒に酔っているわけでもないのに、
日常的に並外れて声が大きい人は、
一度耳の検査をしてもらったほうが良いかも知れません。
聴力が衰えている場合には、
自然と自分の声が大きくなるものですから。
もしも聴力に問題がない場合には、
心のほうになにか問題があるのかも知れません。

たとえばたくさんの人の前でなにか話をしようとして、
私語ばかりで話が伝えられない場合があります。
こんな時には逆にうんと小さな声でしゃべるほうが効果的です。
「おい、なにか話してるぞ」と静かにしてくれるからです。
そこで、本当に伝えたいことを話しはじめれば良いのです。

本当に大切で、本当に伝えたいことは、
やや低い声で話したほうが人の心に届きやすいのです。
また、会話それ自体を考えても、
大きい声よりは小さい声のほうがエレガントなのです。

それはともかく、
その場に最適な音量で話ができるよう、
心掛ける必要はあると思います。
低いけれど、よく伸びる、よく伝わる声と、
音量とが理想的なのです。
また常に、自分の声のボリュームに
気をつけようとする人こそが、
エレガントなのかも知れません。
会話ひとつにも優雅さというものがあるのです。


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2003年3月24日(月)

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