服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第184回
「ありがとう」は美しい言葉です

レストランなどで店の人を呼ぶ時、なんと言いますか。
私は軽く手をあげて、
静かに「お願いします」と言うことにしています。
これが一番良い方法ではないかと、
勝手に考えているのです。

それとなくまわりを眺めていると、
「すみません」と言う人が多い。圧倒的に多い。
まるで「すみません!」というのが
常識であるかのように思えてしまうほどです。

「すみません」というのは、
私にはなんだか謝りの言葉のように思えて仕方がありません。
おそらくは「すみませんが、水を一杯頂けませんか」
という会話の半分を省略したものなのでしょう。
ひと昔なら「おそれいりますが・・・」
と言ったところかも知れません。

でも、レストランで
そこまで丁寧な言葉づかいが必要でしょうか。
いや、それ以前に「すみません」がすっかり一般化してしまって、
あまり効果的な表現ではなくなっているところが問題です。

そこで一度やさしく「お願いします」と言ってみて下さい。
たぶん「すみません」よりも美しい言葉になるはずです。

そしてもうひとつ。
たとえば「水を一杯下さい」と言って、水が来る。
この時、たいていの人は黙っていて、何も言わない。
水が出てくるのは当然だと思っているからなのでしょうか。

なにも偽善者ぶるわけではありませんが、
私は小さな声で「ありがとう」と言うことにしています。
レストランで美味しい食事を提供してもらうために、お金を払う。
レストランで心地良いサーヴィスをしてもらうために、
「ありがとう」と言う。
これは当り前のことではないでしょうか。
自分が水を頼む。水が来る。「ありがとう」と言う。
これほど自然なことはありません。
もちろん大声を出す必要はないでしょう。
サーヴィスの人に届けば良いのですから。

「お願いします」と「ありがとう」。
これでレストランでの楽しさが倍になるはずです。


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2003年3月26日(水)

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