服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第192回
美しい言葉は財産です

美しい日本語をいくつ知っていますか。
なにもここで難しい話をしようとは思いません。
どうせ使うなら、少しでも美しい日本語で話せたらなあ、
と思うだけのことです。
つまり私もまた美しい言葉を話す自信はありません。
でも、話したいという気持だけは持ち続けたいのです。

いつかこの欄でもお話をした「ありがとう」。
これもまた美しい言葉のひとつでしょう。
ちょうど良い機会に、適切な速度と音量とで、
心をこめて「ありがとう」と言う。
するとそれを聞いた相手の心に響くでしょう。
これこそ美しい言葉です。

同じように「おはようございます」
「こんにちは」「さようなら」・・・
なども美しい言葉かも知れません。
あらゆるものがそうであるように、
言葉もまたかたちだけでは成立しないのです。
どんなにかたちが美しいとしても、
そこに心がこもっていなければ、
本当に美しい言葉としては相手には届かないでしょう。

会話。少しおおげざに言えば
これは気持のキャッチポールです。
気持を投げて、投げ返してもらう。
ボールが相手に届かないのではキャッチボールにはなりません。
つまり会話をするということは、
相手の心に届く言葉を使うということに他ならないのです。
届かない言葉をいくらたくさん使っても、
それは空しいのです。

たとえば若者言葉というものがあります。
また、流行語というものがあります。
これはどんな昔にもありましたし、
どんな未来にもあるでしょう。
若者言葉を使うな、とは言いません。
親しい友だち同士の間であればそれも許されるでしょう。
でも、それが通じない相手の前では
けっして使うべきではありません。

美しい言葉を使えることは、
その人にとって無形の財産です。
美しい言葉への近道は、
常になにが美しいかを考えることです。
少しでも美しい言葉を使う習慣をつけたいものですね。


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2003年4月3日(木)

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