服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第230回
俳句はお好きですか(2)

俳句は難しいと思いますか。
でも難しいと思えば難しいし、
易しいと思えば易しいのです。
これはゴルフでも釣りでも、
趣味とはそういうものでしょう。
ただ、単純で、頂上のないものほど、
人は深入りしてしまう傾向はありますが。

ゴルフも釣りも深入りすれば
どうしても高級な道具が欲しくなってしまう。
でも趣味としての俳句に道具はほとんど要りません。
せいぜい歳時記の一冊もあればよろしい。
あとは句を書きつけておく手帳くらいのものでしょうか。
まったくと言って良いほど、お金はかかりません。
頭が動く限り、いくつになっても俳句は詠めます。
つまり年齢制限もまったくありません。

もちろん俳句にも難しさと易しさがあります。
けれども難しい部分は研究家にまかせて、
私たちは易しいところを大いに楽しめればそれで良いのです。

「毎年よ彼岸の入に寒いのは」(子規)
という秀句があります。
言うまでもなく「彼岸」が季語で、春の句。
でも子規の句ということを忘れてみれば、
誰かのせりふのようにも思えますね。

実はこの句のもとは子規の母の、日常の会話だったのです。
「きょうは寒いね」、「毎年よ彼岸の入に寒いのは」。
おや、これは立派な俳句ではないか、
と子規は考えたのです。
もっとも実際に母の言葉がどうであったかは知りませんが、
俳句をそれほど特別視することはないのです。
要は句作の心を持って、物を見、音を聴くことでしょう。
すると自然に句がうまれてくるはずです。

さらに理想をいえば、日常生活でのつぶやきが、
ほとんどそのまま俳句になってくれることでしょう。
なかなかそうはいかないでしょうが。
でも、日頃のなかで常に句作を心がけることで、
少しづつ言葉が磨かれてゆくことはあるはずです。
もしも句作をいつも意識することで、
自分の心が美しくなるのであれば、
これほど良いことはありません。


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2003年5月11日(日)

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