服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第255回
なあに、たいしたことではありませんよ

白い服にシミをつけたことがありますか。
実はきのう、それをやってしまいました。
ちょっとした用事があって
横浜市郊外のA町に出かけた時のこと。
用事も終り、のども渇いたので、
とある喫茶店に入ったのです。
そこでふと目に入った
「抹茶フローズン・ドリンク」というのを頼んだ。
美しい緑色のフローズン・ドリンクが運ばれて来た。
ところが喫茶店のお嬢さんの手が滑った。
背の高いグラスは倒れ、割れ、
フローズン・ドリンクはテーブルの上に。
当然、私のほうにも被害はありました。

その時たまたま黒い麻のシャツに
白いジーンズを穿いていたのです。
左脚は完全にテーブルの下だったのですが、
右脚のほうが少し出ていた。
で、膝のあたりに緑色のシミが付いてしまったのです。

喫茶店の客全員がこちらを振返り、
なんとも恥かしい思いをしてしまいました。
でも、彼女はわざとやったわけではありません。
幸いこちらは白いデニムですから、
大問題ではありません。
白いシルクや白いウールなら話は別ですが。

家に帰ってから、漂白剤を適量溶かした水のなかに
白いジーンズを漬けました。
これはすぐ洗うよりも、少し時間を置いたほうが良い。
私はひと晩そのまま漬け置きました。
そして今朝、ごく普通に洗濯機で洗った。
もちろんまっ白に仕上りました。

繰返しますが、絹や毛ならば家庭洗濯は無理です。
でも綿や麻なら漂白剤を上手に使うことで
かなりきれいになります。
シミをつけたらすぐに洗うこと。
汚れがひどい場合は、充分に漬けておいてから、洗うこと。
このふたつを守れば、
いつでもまっ白い状態を保つことができるのです。
私が白いジーンズを愛用する理由のひとつもここにあります。

きのうのようなちょっとした事件があっても、
だから落着いていられるのです。
寛容でいられるのです。
「なあに、この程度、気にすることありませんよ」
と言ってあげられるのです。


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2003年6月5日(木)

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