服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第273回
気持よい本の読み方

自分だけの、秘密の休憩場所を知っていますか。
そこは広くて、静かで、明るくて、
誰に邪魔されることも、
誰に気を使うこともありません。
本当に自分ひとりになって、
何時間でも、好きなだけ時間を過すことができます。

しかも無料なのです。
2時間だろうと3時間だろうと、
いっさいお金はかかりません。
椅子とテーブルがあって、好きなだけ休めます。
もちろん完全に空調されていますから、
涼しいのです。

もう、お分りですか。実は図書館なんです。
私がよく利用するのは、広尾図書館。
図書館は身分を問うことをしない。
住所、氏名を記入する必要もない。
2時間なら2時間、
私が誰にも黙ってその中に入れば、
その間私はほとんど透明人間のように過せるわけです。
これほど心が休まることがあるでしょうか。

ただし、国会図書館だけは別です。
入館前に住所、氏名を記入することを求められます。
それにすべて閉架式ですから、
1冊づつ請求票を書かなくてはなりません。
けれども日本で刊行された書物はすべてある、
というのが原則ですから、たいていの本は読めます。

私が図書館に行く時は
Tシャツにジーンズ、それにスニーカー。
もうこれ以上は崩せないほど楽なスタイルです。
広尾図書館は5階建てで、私はエレベーターを使わない。
3階へ行ったり、4階へ行ったり。
これはけっこう運動になります。
それに庭が広くて、読書の後の散歩にも最適です。

それはともかくとして、
図書館を受験勉強の学生だけに使わせておくのは
もったいない話だと思いませんか。
こんなに立派な、無料の休憩所があるのですから。

最近はすべてコンピュータ化されていて、
テーマに合わせて
自由に情報が取り出せるようになっています。
もし毎日通ったなら、
1冊の研究書を仕上げるのも夢ではないでしょう。
もし、そうでなくても、少し疲れた時に、
2時間だけ透明人間になるのも
心のリフレッシュになるはずです。


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2003年6月23日(月)

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