服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第311回
足もとのほのかな香り

サンダルを履くことがありますか。
なんとなくサンダルといえば
女性用という印象を持ってはいませんか。
でも、ゆっくり探してみると、
男性用のサンダルだってないわけではありません。
少しでも涼しい思いをしたい時のサンダルは
なによりの味方だと思います。

そもそもシューズの歴史よりも
サンダルのほうが古いのです。
サンダルがやがて発展してシューズになった、
と言ってもそれほど大きな間違いではないでしょう。

少なくとも古代エジプト人もサンダルを履いていた。
それはヤシの葉を裂いて編んだサンダルで、
わらじの西洋版といった感じのものでした。
古代ギリシアには“クレピス”が、
古代ローマには“クレピダ”がありました。
どちらも革で作った解放的なサンダルだったのです。

ジュリアス・シーザーの仇名が
“カリギュア”であったことは、ご存知のとおりでしょう、
正しくは“カエサル”ですが、
彼は少年の頃から
“カリガ”caligaを履いていたところから、
つけられたものなのです。
カリガもやはり革で編んだサンダルで、
ただし首足あたりまでの深さで、
当時は軍用靴と考えられていたのです。

ちょっと例外的であるかも知れませんが、
サンダルに同じ色の靴下を履く手もあります。
ネクタイを締めるような場合でも、
あえてこれをやってみるのもひとつの方法でしょう。
もちろんカジュアルな場面で、
ショート・パンツにサンダルを履くのは、
痛快そのものです。
靴下が不要であることは言うまでもありません。

ところでオーデーコロンの空びんはありませんか。
もし見つけたなら、ほんの少し薬用アルコールを加えます。
で、カット綿にひたしてから、
足全体を拭いてみましょう。
束の間ひんやりと涼しく、やがて良い香りがし、
ひいては消毒殺菌にもなりますよ。
あるいはもう残り少ないオーデーコロンを、
アルコールで薄めて、サンダル用の(?)
フット・ケアに使うのも良い方法です。


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2003年7月31日(木)

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