服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第315回
魅力を手に入れる秘密の方法

オーソン・ウェールズを知っていますか。
『市民ケーン』でも有名な俳優にして、監督。
若い頃はそうでもなかったのですが、
次第に肉づきが増して、
晩年ははっきりと肥満でありました。
1985年、70才で世を去っていますが、
スリムであればもっと永生きしたのではないでしょうか。

確かにオーソン・ウェールズは
私たちが及びもつかないほどの肥満でした。
でも、それ以上の魅力と存在感を持っていました。
やや極端な例であるかも知れませんが、
肥満と魅力とは直接には関係ないのです。
スリムで魅力に欠ける人もあれば、
肥満で魅力ある人物も少なくありません。

つまり一番大切なことは、
太っているかやせているかという問題ではないのです。
それは表面的、視覚的なことにすぎません。
もっとも大切なのは、美意識の問題なのです。
自分自身をより美しく保とうとする意識が、
どのくらい強いのかということ。
結局のところオーソン・ウェールズには
強い美意識があったということになります。

では美意識を持つには、
高めるにはどうすれば良いか。鏡を見る。
できるだけ多く、自分の姿を鏡に写して見る。
最初は誰だってテレる。
自分を自分で見るのが、辛い。
でも、その辛さをなんとか乗り越える。
そして少しでも良い点を発見する。
さらにはその良い点を口に出してささやいてみる。

毎日鏡を見ていると自分の長所と短所が分ってくる。
そして少しづつ鏡を見ることに慣れてくる。
楽しくなってくる。
長所を伸ばし、短所を改善すれば良いのですから。
少なくとも、鏡を見ないで美意識を高めることは、
絶対にできません。

こうして自分のなかに美意識が高まってくると、
自然、第三者にも関心を持つようになります。
大いに参考になったり、反面教師になったり。
このようにますます美意識が磨かれてゆくわけです。
太さ細さという表面をこえて、
より魅力的な、存在感のある大人になろうではありませんか。


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2003年8月4日(月)

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