服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第403回
むかしむかしのスウェット・シャツ

トレーナーを着ることがありますか。
私もTシャツほど頻繁ではありませんが、
着る機会はあります。
気楽で、暖かく、シワや汚れを気にする必要もありません。
便利なものですし、
幅広い着こなし方が楽しめるものです。

「トレーナー」が和製英語であることは、
よく知られている通りです。
1960年代、VANが
はじめてこれを売出す時につけた呼び名なのです。
つまり日本にはじめて「トレーナー」を紹介したのはVANであり、
それ以前には日本製は存在していませんでした。

では、英語では何というか。
“スウェット・シャツ”sweat shirts。
正しくはアメリカ英語です。
スポーツの前後、体温調節用として使ったことから、
その名前があります。
もともとは運動選手のためであったものが
一般化したものです。

スウェット・シャツは1920年代のアメリカに生まれ、
やがて世界に拡がることになる。
では、スウェット・シャツの前には何を着ていたのか。
スェーターを着た。
スポーツの前後にスェーター
(正しくはスウェーター)を着たのです。
これはイギリスで生まれたもの、
スェーターの近代版が
“スウェット・シャツ”と言って良いでしょう。

こんな話を聞くと、
見慣れたトレーナーに
いっそうの愛着が感じられてくるのではないでしょうか。
いつもふだん着ばかりにしておくのは、もったいない。
たとえばグレーのウールのパンツに
ギンガム・チェックのスポーツ・シャツを着る。
で、その上にトレーナーを重ねる。
まるでクルー・ネック・スェーターのように
着こなしてみるのです。

どうしてトレーナーの話になったのか。
それは「チャンピオン」の
復刻版スウェット・シャツを発見したからです。
1940年代のスウェット・シャツを
ほぼそのままに再現しています。
素材もしっかりと厚手で、袖口のゴム編も幅が広い。
もちろん大きく折返して着ることもできます。
ネイビー、ライト・グレー、
ミディアム・グレーの3色があって、1枚7800円。
ビッグ・オーク(TEL:5475-8390)で買えますよ。


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