服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第458回
完全なる礼装用の靴下

前回、読者のハンドルネーム
「や」 様 からいただいたご質問
「礼服のコラムを読み疑問が、
 靴下は下着として考えるのでしょうか?」
について回答ができませんでしたので、
その回答です。

靴下は下着なのかどうなのか、
というご質問でしたね。
長い間、私は靴下は靴に対する下着のようなものである、
と考えてきました。
でも、あらためて問われてみると、
少し心に動揺が走ります。

靴下はたしかに下着としての機能を持っています。
素足のままで靴を履いてみれば、
すぐに分ることでしょう。
靴自体を汚すことなく、
またはるかに履き心地も良くなります。
でも靴下はまったく服の下に
隠れてしまうわけではありません。
時と場合によっては積極的に靴下を
アクセントにすることさえあります。
カントリー・ウェアにおける
アーガイル・ソックスなどは、
その典型的な一例でしょう。

靴下は主として下着的だが、
一部上着的な要素を持っている、
と結論すべきかも知れません。

ところで礼服の場合の靴下は
どう考えるべきでしょうか。
まず第一に、黒無地の靴下。
フォーマル・ウェアの場合、
まず例外なく黒い靴、黒い服ですから、
これは常識でしょう。
そしてもう少し具体的に眺めてゆくと、
モーニング・コートの場合にどうするか。
縞ズボンの下に合わせる靴下とは。
実はこれも黒無地の靴下で良いのです。
よく礼装売場に行くと、
黒と白の、縞柄の靴下を礼装用として
並べられています。
あのような習慣が
どうしてはじまったのかは知りませんが、
縞ズボンだから縞靴下と考える必要はありません。
ストライプド・トラウザーズ(縞ズボン)にも
黒無地の靴下を合わせたいものです。

さて、その黒靴下ですが、
短いものよりも
ひざ下までの長い靴下をおすすめします。
足首でのたるみが少なくなるからです。
リブ編みかスムース(無地編み)かは、
好みの問題でしょう。

もしも心に余裕があるなら、
シルクの長靴下を履きたいものです。
これでフォーマル・ウェアのソックスは完璧です。


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