服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第459回
諸君、まず与えよ!

自分が20歳になった時のことを覚えていますか。
私は覚えていません。
たぶん「これでもう大人になったぞ」
という自覚はなかったのだと思います。
今、若者にとって成人というのは、
どれほどの意味を持つのでしょうか。

しかし、それでも成人式は無いよりも、
あったほうが良い。
それはひとつの明快な区切りになるからです。
たいていの人はなまけ者で、
区切りがないと
ただ漠然と漂ってしまうことがあるからです。
新年もひとつの区切りですし、
成人式もひとつの区切り。
もし誕生日を区切りにすれば、
毎年、自分に対して自覚を促すことができるわけです。

では、なにを、どう自覚すれば良いのか。
ひと口で言えば、
より良く生きる方法ということになるでしょう。
自分のできる範囲で、
より良く生きようと、あらためて決心する。
そのために、区切りを上手に利用する。

<<手は手でなければ洗えない。
 得ようと思ったら、まず与えよ!>>
ゲーテはこんなふうに言っています。
私もその通りだと思います。
思うことと、実行することはまた別ですが、
思わないよりもはるかにましです。

私は、人に優しくしてもらいたい、と思う。
これはまあ、誰でもそうでしょう。
もし、本当に、強くそう思うなら、
ゲーテの言うように「まず与えよ!」。
人に優しくする。
どれだけ多くの人に、
どれくらい優しくできるのか。
一人の人間がすることなんて、
たいしたことはありません。
でも、辛く当るよりは、
優しくするほうが良いに決っています。
そしてたぶん、
「あっ、私も優しくしようと思えば出来るんだ」
と自分自身で驚くでしょう。

そうなんです、人は出来るんです。
強く心に思えば、
それを実行に移すことが出来るのです。
つまりまず最初に大切なのは、
今、自分が何が欲しいのか、よく考える。
愛なのか、金なのか。
で、次にそのことを強く心に思う。
そしてさらにはそれを人に与える。
与えつづける。
必ずやいつの日にか
それは自分自身に返ってくるはずです。


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