服飾評論家・出石尚三さんが
男の美学をダンディーに語ります

第464回
これがおしゃれの極意です

部屋に姿見はありますか。
姿見はおしゃれを完成させるためには、
絶対条件だと思います。
頭のてっぺんから爪先までの全身を
そっくり写せるから、姿見。
つまりタテ長の、大きな鏡のことです。

いつも「バランスが大切です」
と繰返していることは、
ご存じの通りです。
シャツとタイのバランス、
ジャケットとパンツのバランス・・・。
端的に申しますと、
おしゃれとはバランスの妙なのです。
「着こなしのメリハリ」、
あるいは「量感の組合わせ」
と言い換えても良いでしょう。
それはともかく、
このバランスの美しさを点検するための唯一の方法。
それが姿見なのです。
結局のところ姿見なしにおしゃれはできないのです。

全身が写る大きさでさえあれば、
必ずしも高価な鏡が必要ではありません。
ただしごく一部に
歪(いびつ)な鏡もありますから注意しましょう。
細長い鉛筆を右手に持って、
ゆっくりと左右上下に移動させて、
その像に狂いがなければ、まず大丈夫でしょう。
いつも着換えをするクローゼットの近くに1枚、
靴を履いた状態で点検できる玄関の近くに1枚。
姿見がこんなふうに2枚あるのが、理想です。

けれども姿見はなにも家の中だけとは限らないのです。
一歩外に出てからも、よく注意していれば、
姿見の代りになるものが少なくありません。
ショウ・ウィンドーだって、時と場合によっては、
ハーフ・ミラーになることはご存じの通り。
また最近の建物の、
フィルム・コートされたガラスも同じように、
鏡代りになることがあります。
もしも「鏡」の存在に気づいたなら、
積極的に利用することをおすすめします。

鏡を見ることには大きく分けて、
2つの目的があります。
ひとつは言うまでもなく、点検。
そしてもうひとつの役割は、再確認。
「これで良し!」という念押し。
つまり、自分で自分のスタイルを褒めてあげる。
もちろんこれが行きすぎると、
ナルシストになってしまう。
ナルシスト手前の自己認識こそ、
おしゃれの極意なのです。


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